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渡辺英明さんのこと。
写真家で、飲み友達でもあった朋友の渡辺英明氏が亡くなった。
くも膜下出血で、突然のことであった。

ホームグラウンドの中野の居酒屋「ときのん」で、写真展を開催中の、衝撃的な話であった。今でも、悲しいというよりも狐につままれたような感覚しかない。

英明さんといえば、まだ新聞社の専属カメラマンだった時代に、初めてときのんに来たという日にお会いしているのだが、その時は自信なさげで、何故かとてもいじりやすい感じの人であった。
後年、私にいじり倒されたのを冗談交じりに恨みがましく話してくれたのだが、私は滅多に他人をいじるような事はしない。ましてや初対面の人である。それほどいじりやすかったというのは、彼の人柄のなせる技なのだろう。

その、どちらかというと頼りない感じの彼が豹変したのが、初めての写真展であった。「ときのん」の壁面をいっぱいに使っての展示。「苛つく街」シリーズの嚆矢である。
それまで、どちらかというと素人臭い展示しか無かったときのんギャラリーを一気に格上げし、ギャラリーとしての地位を確立させたのは、まさに英明さんの仕事である。

あれには私も触発されて、これまで4回の写真展を開催するに至った。そのパワーの多くは英明さんに貰ったような気がする。

私は人間を撮るのが好きで、ストリートスナップを中心に撮影していたのだが、肖像権問題等で、そういった写真が撮れなくなり、写真に情熱を失いつつあった。そんな時に彼の写真を見たのだが、彼の写真は、都会のごみごみした風景を撮っていながら、まったく人間が入っていなかった。
人は撮らないという、私とは真逆の考え方であった。しかも綺麗な風景写真というわけではない。どちらかといえば汚く、ゴミゴミしていて、まさに苛つく風景を切り取っていた。それがとても新鮮で、なるほどと思ったものである。

英明さんの写真理論については、みんなで奥多摩合宿に行ったときに拝聴したのだが、彼は酔っぱらっていて、その日の演説を全く覚えていなかったりした。翌日、「そんな事言ってましたあ?」とか言われたときにはズッコケたものだ。そんなところも彼らしいと言えば彼らしいのだが、泥酔したときに吐露する写真への情熱は本物だったような気がする。

その後、私はスナップ写真への情熱をどんどん失い、唯一の対象として「バンド撮影」を選び、今はそれを中心にした活動だけに縮小しているのに対して、英明さんは会社を辞め、写真家として独立し、何回か定期的に個展を開くなどして、どんどん上昇気流に乗っていった。

その矢先の出来事である。

俺より若いのに死ぬんじゃねえよクソボケ!

***

訃報を書くにあたり、遺影を載せようかと思ったが、馬鹿写真しかなく、折角持ち上げて書いてやったのに、一気に彼の品格を貶めることになってしまうので、掲載を見送ることにする。そのあたりも何か最後まで英明さんらしい気がした。

天国でも酒飲み過ぎて失敗するんじゃないよ!
| 【写真】 | 08:53 | comments(0)
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