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「この世界の片隅に」を見た。
昨日は、どうにも仕事をする気が出ず(最近、そんなんばっかりです。あんまり細かく書けないけど、モチベーション上がらない大事件があったのでねー)、午前中半休して映画を見ました。

「この世界の片隅に」です。

実はある程度原作の内容を知っており、ちょっと今の精神状態ではキツイかなと思ったのですが、それでも良い映画を見たと思います。

以後、壮大なネタバレを含みますので、未見のかたはご注意下さい。

***

あらすじを書いてみると、改めてこの話がどれだけ悲惨な物語なのかが分ります。

『広島に住む、絵が得意な少女すずは、見染められて呉の北條周作のもとに嫁ぐ。相手がどんな男かも知らない上に、嫁いだ先の義母は足が悪くて働けない状態。さらには義姉が離縁して戻ってきてしまい、すずは益々肩身が狭くなる。
呉は度重なる空襲を受け、そのために義理の姪と自分の右手首から先を失ってしまう。
8月6日には広島に原爆が落とされ、両親を失い、妹も原爆症になってしまった。兄はとうの昔に戦死している。
焼野原となった広島で見つけた戦災孤児の少女を拾い、呉の家に戻るところで物語は終わる。』

書きようによっては、物凄く暗く、悲惨になる話なのですが、すずの性格がほんわかとしており、それが救いになって、さほど悲惨な印象はありません。

絵を描くのが好きなのに、右手を失ってしまっては、もう絵が描けないのです。それがどれだけ辛いことかは表現されていません。それでも普通に生きていくしかない。でも、本人には、そんな覚悟すらありません。相変わらずのほほんとしている。そこがすずの性格の良いところなんでしょう。それは決して諦観ではないのです。

広島と呉を舞台にしている事は、我々にはいずれ原爆が落ちるという事があらかじめ分かっています。それゆえ、その直前に右手と姪を失い、今また広島の家族を失うであろう事が分っているのですが、どうすることもできません。その行く末をただ見ていくしかないのですが、不思議とすずにはそういう悲惨なイメージが付きまといません。

情報量の少ない時代です。広島に新型爆弾が落ちても、家族の安否すら分らない。そこに大きな不安はあるでしょうが、健気に生きているのです。むしろ情報量が少ないからこそ、余計な心配をしていないという事なのかもしれません。何事も即座に分ってしまう現代というものが、果たして良いのか悪いのかを考えてしまいました。

唯一、すずが感情を爆発させるのは、終戦の玉音放送を聴いた後、一人で畑に行き、号泣するシーンのみです。それだけに、このシーンは心を掴まれる厳しさがありました。

周作とのラブシーンは、他愛もないキスシーンのみですが、これが妙に色っぽい。表現力稚拙で申し訳ないんですが、ヤバいですね。チョーヤバい(笑)

幼馴染の水原が、巡洋艦青葉に乗り組む水兵となり、すずを訪れてきます。周作は、彼を納屋に寝かせ、すずに行火を持たせて二人きりにさせます。これも、冷静に考えると凄いシーンなのです。これから死にに行く幼馴染で初恋の相手であろう水兵に、自分の妻を差し出すわけです。しかし、すずは未だに淡い感情は持ち合わせていながらも、夫への愛情を再確認する。描きようによっては幾らでもドロドロ出来る話ですが、綺麗に纏めています。次の日の夫婦喧嘩も含めて、良く出来ているなと思いました。まあ、原作どおりって言えばそれまでなんですが。

原作に忠実に描いているのは好印象ですが、そのために駆け足になっている部分も多く、そこが少しだけ残念でした。すずが、妊娠か?と思ったシーン、お義姉さんがよそってくれるご飯が、最初は大盛り2人分なのですが、その次に1人分に戻ってしまう部分で妊娠は間違いと気づくのですが、気づかなかった人もいたようで、赤ちゃんどうなったの?という感想を呟いている人がいました。

遊郭のリンさんとの話も大幅にカットされており、突然すずがリンさんの名前を口にする部分に多少の違和感が出ます。原作読んでない人は、リンさんって誰だと思ったかもしれません。まあ、それは些細な部分ですし、無視できる範囲だと思いますが、これだけ緻密に作られた映画だけに、その2点が惜しいなと思いました。

多くのかたが指摘されていますけれど、この映画は色使いと音が抜群です。「マイマイ新子」でも感じたところの、淡い色使いが素晴らしい。あと、作った音ではなく実際の音をサンプリングしたという効果音。とりわけ、爆弾の爆発音が鈍くバスンと唸るのは、それを生で体験(自衛隊訓練などを見ました)した私には、物凄くリアルで、それゆえに恐怖感が際立ちました。アニメに良くある「ひゅー、どっかーん」では興ざめです。

効果音同様、主人公すずを演じたのん(能年玲奈)さんの声も素晴らしい。一本抜けた、のんびりおっとりした性格が良く表現されていました。広島弁をこれだけ可愛く、緩やかに喋れるのは驚異的です。わしらは広島弁というと仁義なき戦いの世代じゃけんのう。アニメの声優さんでは出せない声ですね。これも大変素晴らしいキャスティングと思いました。

原作通りなので、これは深読みし過ぎと思いますが、最後に広島で戦災孤児となった少女を救うくだりも素晴らしかった。義姪のハルミちゃんを亡くす場面で、あの思い出したくもない最悪の映画「火垂るの墓」を連想してしまうのですが、この戦災孤児の女の子を救う部分で、「火垂るの墓」に対する強烈な「祓い清め」を感じました。それはジブリ・高畑勲に対するしっぺ返しのようにも感じられました。
個人的には、30年近くに渡る「火垂るの墓」の怨念を晴らしてくれたと思いたいです。ま、原作もそういう話だから考えすぎなのは分っていますけれども。

絶対泣くだろうと思って、ポケットからハンカチを出して構えていたのですが(笑)、ほとんど泣けませんでしたねえ。これは意外なんですが、やはり、のんさんの、のんびりとした声が心を溶かすんだと思います。
唯一、ラストもラスト、エンドロールの最後の最後で出てくるシーンにだけ、思わず泣かされました。途中で離席しないで最後まで見てください。ここだけはネタバレしないでおこうと思います。

***

ネットの評判を見ると、この映画を評価している人の多くが、「君の名は。」を持ち出して、あれは軽いとか内容が薄いみたいな話をしています。でもそれは違うと思うなあ。

「シン・ゴジラ」と「この世界」は、映画的手法で作られています。モブの出演者ですら、細かい設定があり、綿密な取材を行い、ウソの無い世界を描くのは映画的手法です。
ですから我々は、その情報量に圧倒されます。そして凄いと思う。
ところが、「君の名は。」は、明らかに監督が興味のない部分については浅く薄い。致命的なミスも目立ちます。そこがダメという事なんですが、それは「君の名は。」を映画的観点から見てしまうからです。勿論、映画なので、ダメなんですが、そういう事ではない。

ダメなはずの映画なのに話題となり、人気が出たのは何故だろうと思っていました。否定しているのが男性に多いので、男と女の感覚の違いと思っていましたが、今回「この世界」を見てハッキリと分りました。

「君の名は。」は映画的手法ではなく演劇的手法で作られているのです。

二人の主人公の感情のみを主題にしているのです。周囲の人物は勿論、背景なども、とても緻密で綺麗な映像で描かれていますが、実は背景すら必要がない映画なのです。「この世界」では、単なるつなぎのカットでしかない昆虫のアップですら意味を持っていますが、「君の名は。」にはそれが無い。単なる風景です。キーポイントとなる設定の部分ですら、監督が全く感情を入れ込んでいないので、逆に二人の気持ちが際立つということなんでしょう。綺麗な背景や特殊なプロットに惑わされてはいけません。あの映画は大黒幕の前で演じられる二人芝居なのです。

「君の名は。」は、ダメ映画として、評価出来ないと思っていましたが、今回、「この世界」を見たことで、むしろ再評価につながったという意味では、とても意味があったと思います。

でも、やっぱり「君の名は。」の作り方は好きじゃないな。


| 【映画・テレビ】 | 11:43 | comments(0)
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