クルクルちゃん TOPに戻る

Since 1997.1.1
CONTENTS

雀鉄BLOG
 軽便鉄道模型製作記


大盛飯
 金属恵比須御用達写真サイト


出張めし
 サラリーマンの昼飯日記

INPRESSIONS
 随時更新 

パチモン怪獣図鑑
 更新停止中 

大洋ホエールズ
 更新停止中 

MY BOOKMARKS
 2010/07/06 

CALENDER
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECENT COMMENT
イチオシ
qrcode
TEXT STYLE
<< プログレアイドルを撮影してみる。 | main | MOA美術館に行ってきた。 >>
感染領域

ここの所、個人的な事情であまり読書をする気分になれない日々が続いていた。撮りためた映画やアニメも貯まりに貯まっていて、会社を辞めて半年くらい毎日テレビに齧りついて再生しても全部見切れないくらいにハードディスクを圧迫している。

が、それらの「不良在庫」を差し置いて、すぐにでも読みたいと思った本が出版された。

2017年第16回「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞「カグラ」を改題した「感染領域」である。著者のくろきすがや氏は、エラリー・クイーンや岡嶋二人同様、コンビで執筆する二人の作家のペンネームだ。

トマトが枯死してしまう謎の病原体の調査に当たる植物学者が、その調査をキッカケにして殺人事件を発端にした危機に立ち向かっていく、サスペンス小説である。
謎解き要素に重点は置かれておらず、単純にダイナミックで巨大なスケールの危機とそれを防ごうとする主人公の戦いに主眼が置かれており、肩肘張らずに読み進めることが出来た。

驚愕するのは、バイオテクノロジーに関する記述で、失礼ながらお二人ともそちらの専門家というわけではないのに、物凄い情報量と、それを描き切る力量に驚嘆せざるを得ない。
私とて、この分野は全くの門外漢なので、その内容の正確さを推し量ることは出来ないのであるが、どう考えても付け焼刃的に勉強しただけで、このプロットが思いつく道理はない。

バイオ技術の専門家が手慰みで小説を書きました、というのであれば納得できるが、全くの門外漢であるお二人が、ここまで本格的な専門用語を並べ立て、最先端の分子生物学を手玉に取ってサスペンス小説に仕上げてしまうのには、どれだけの勉強と咀嚼を行ったのであろうか。ちょっと想像できない。

私はミステリ好きだが、乱歩正史で始まり、クリスティ、クイーンらの洋物にハマってから、和久俊三の法廷物、仁木悦子、栗本薫、宮部みゆきの女流を経由して、我孫子武丸、京極夏彦、貫井徳郎で屈折し、最近は首藤瓜於と飴村行という流れ(飴村さんをミステリ枠に入れるべきかどうかは異論があるけれども)なので、正直サスペンス系は苦手である。

そんな私をしても、一気に1日で読み切ることが出来る読みやすさと、引きずり込まれる文章、展開の見事さは、これが処女作とは思えない完成度だと思う。

***

さて、ここからは自慢話である(笑) どう書いても自慢話にしかならないので、開き直ることにした(笑)


実は、くろきすがや氏の片方、主に執筆を担当された菅谷淳夫氏は、横浜ベイスターズファン繋がりの友人なのだった。だから余計にビックリしたもんだ。

「このミス大賞」に選出された知り合いは二人目である。もう一人は、第13回の隠し玉「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」の作者山本巧次氏。氏は高校大学を通じて「鉄研」の先輩なのだった。高校時代から「コージさん」は部誌に小説を書いていたので、このミス大賞に選ばれたときも、「おー!」という感じだったのだが、すがやさんのほうは、正直びっくりした。文章のお仕事に就いているのは知っていたのだが、まさかこんな形でミステリ界にデビューなさるとは!

「このミス」には浅からぬ縁があるようで、13回の優秀賞「いなくなった私へ」の著者、辻堂ゆめ氏も高校の後輩のようである。ペンネームを見て、もしやと思ったら当たりであった。13回は、辻堂氏、山本氏と2名の母校出身者が同時に出たというわけだ。まー、大先輩には石原慎太郎だの江藤淳だの斎藤栄なんかが居る学校なんでね。長く生きてるとこんな事もあるというわけだ。

ネットの普及によって、思わぬ才能をお持ちの方々と交流が出来、ここ数年、その方々が着実に実績を積み上げていく姿を眺めていると、こちらも晴れがましい気持ちになる一方で、じゃあ自分はどうなんだ?と思った時に、多くの挫折感を味わったりもしている。

だが、去年は微細ながら写真と模型で実績を残せたので、それが多少の自信回復につながった。それゆえ、仲間の活躍には、今はむしろ自分へのエールとパワーをもらったような気分になっている。

自慢話おわり。

***

さて、小説の話に戻りましょうか。ちょっと文体を変えて。

以下、ちょっとネタバレっぽい部分があるので注意してください。

「このミス」応募時には「カグラ」というタイトルでしたが、この度文庫で出版される際に「感染領域」というタイトルに改題されました。「このミス」作品の改題は常套手段なのですが、今回の改題は成功と思います。サスペンスっぽい感じが良く出ているし、話にも入りやすいと思いました。
「カグラ」だと、神楽を連想しがちなので、もっと神秘的な話とかファンタジー系と思われるきらいがあると思います。

読み始めて、ああ、これは菅谷さんの文章だろうなと思わせる所が随所にあり、巻末の解説でプロット担当が那藤氏、執筆が菅谷氏という説明を読んで納得しました。書きなれているかたの文章は実に読みやすいのです。

あと、声を大にして言いたいのは、

「プログレファンは是非、この本を読みなさい!!」

という事です(笑)。そういう趣向の無い人だと、普通にスルーする数カ所で苦笑すること間違いなし!

話が壮大で、トリックは少なく、サスペンス要素が高い上に、表現力が豊かなので、これは映像化に向く題材であるとも思います。予算たっぷり使って映画化するのが良いのではないかなあ?

割とすんなり、主人公の安藤には長谷川博己、里中しほり役に石原さとみっていう名前が出て来ちゃったんですが、それじゃあ、まるっきりシン・ゴジラだ。

モモちゃんは豊川悦司かなあ?だとすると、年齢的には安藤は今をときめく豊原巧輔か堤真一か。

いや、ちょっと暴走しました。全部なしで。

映像化の際には、端役だけれど、林田のおじさんを演じる人が結構キモになるような気がします。

「2」の意味が比較的序盤で「もしかしたら?」と思っていたので、その謎解きはやっぱりねと思ったのですが、さらに上を行ったのには脱帽。アレは出てこないわー。ちょっと強引かな?とも思いましたが、医学系の人なら当たり前に出てくるのかも。そういう「後付け的な裏付け」とか「読者の勝手な深読み」で納得できるという部分も、良い本の理由と言えるでしょう。

序盤で何気なく出てくる人が重要なカギを握っているのは、ミステリの王道とも言えますね。ああ、やっぱり出てきたと思ったけどその次の設定が!色々盛ってあって面白いです。

そして一つだけ気になった点を挙げるとすれば、「ルーザー」という表現でした。
私が無知で、聞きなれていないだけの話であればよいのですが、恥ずかしながら辞書を引いてしまいました。分かってみれば、ああなるほどという話なのですが、カタカナなのが分かりにくかったかもしれません。LOSERと書いてルーザーとルビを振るか、「負け犬」とか「敗者」みたいなルビが振ってあったほうが良かったかな?割とキイワードなので、余計にそう思ってしまいました。

しかし、そんな些細な点を差し置いても、書いたのが半分友人だという事を抜きにしても、この本は傑作です。是非読んでみてください。

***

そして、もう一冊、去年から読もうとしてるハードカバーがあるんですが、内容的に、ちょっと電車の中とかでは読みにくいからなあ。何とか近々、読むようにしたいと思います。




 

| 【本】 | 13:39 | comments(2)
コメント
いや、あの場面、レオンが出て来なくて良かったとホッと胸をなでおろしました。

というか、ルーザーっていう曲はベックの94年のメジャーからのデビューアルバム『メローゴールド』に収録されている代表曲ですよ。このPVは8600万回も再生されています。辞書を引くならあの頃です。

https://www.youtube.com/watch?v=YgSPaXgAdzE
| レオン | 2018/02/09 2:09 AM |
#レオンさん、

ベックといえばジェフ以外ありえないですw この頃全くその手の音楽興味なかったしw(老害)

冗談はさておき、LOSERと書いてあればまだわかったのですが、個人的に日常で使う言葉では無かったので、全く繋がりませんでした。読者層を広く考えたとき、そこは分かりやすくすべきかと思いました。

| 雀坊。 | 2018/02/09 9:03 AM |
筆者だけにコメントしたい場合は、こちらへお願いします。











ご意見、ご要望は、こちらまで




雀坊堂関連サイト - ゆきうぇぶ


コレクションとカメラの雀坊堂