2018.03.07 Wednesday
巨乳の誕生
今週は、読書週間です。今日も本の紹介をします。
***
昨年暮れに購入しておきながら、なかなか読めなかった。
読書はもっぱら、通勤電車の中なのであるが、そういう場所で広げるにはちょっと憚られるタイトルである。尤も、本文の中には突然、おっぱいの写真なんか出て来たりしないので、そういう意味では安心して読めるわけだが。
これから仕事、という段階の通勤電車の中で、巨乳に関する話を読むのも如何なものかと思ってしまった、という事もある。
だが、それは杞憂であった。
面白い。
序章が、公式ブログで公開されているので是非読んで頂きたい。
http://kyonyu.hateblo.jp/entry/2017/11/08/191424
どうです?さらに読んでみたくなったでしょう。
導入編からしてこれである。
後は、淡々と巨乳文化の歴史について書かれているのだ。エロ本ではなく、これは立派な歴史研究書と言っていい。
それは、著者の前作「痴女の誕生」で分かっていた事ではないか。前作も立派な研究論文であった。
だから、この本はエロ的興味ではなく、文化人類学的興味を以って読んで頂くのが正しい作法であろう。
だが一方で、この本を紹介するのには、少し抵抗があった。
ウチのブログの読者は、妻を筆頭にして女性が少なくない。しかもほとんど知り合いなので、「じゃんぼうさんったら、巨乳好きだったんだ」とか誤解を受けかねない本を紹介することになってしまうので、そこに抵抗があった。
まあ、男ですからね。嫌いじゃないけどね。大きすぎるのもね。
ゲフンゲフン。
そんなわけで、2カ月以上も引っ張って来てしまったのであるが、ここに来て友人知人の本が立て続けに出版されているので、それに紛れて「今週は読書週間!!」という形で、この本も紹介することにした。
読みやすく一気に読めてしまうので、その意味でも、お勧めの本である。
特筆すべきは、この本の中には画像や写真が一枚もないという事だ。
おっぱいの本なのにおっぱいの写真が無い!騙された!いや、そうではない。
「巨乳」という言葉の誕生、文化の誕生についての研究本なのである。だからこそ、画像や絵は必要ないのだった。
***
冒頭、「はじめに」を読んで困惑する。
「現在のAV業界ではGカップ以上が巨乳という事が常識」
えっ?Gカップ?何そのインフレ?!
我々が青少年だったころは、Cカップでも大きめで、巨乳というかボインはDカップという解釈であったが、今はGなのか。何だよGって、乳牛かよ。あんまりデカいのも反って色気無いんじゃないかなあ?とか思ってしまうのだが、趣味趣向なんてものはそんなもんだろう。
序章
原宿ヴィレックスには、特撮ビデオを買いに行ったことがある。プロレスビデオも売られていたのだが、当時、この手のビデオ作品は1本1万円以上する高価なものであって、おいそれと買えるものではなかった。
色々逡巡して、「キャプテンウルトラ」のビデオを買ったのであるが、アントニオ猪木の格闘技戦のビデオもちょっと気になったなあ。しかし、そこに巨乳アダルトビデオがあったという事はあまり記憶にない。当時は1万円出してアダルトビデオを買うくらいなら風俗に行く、みたいな感覚があった気がする。エイズなどの問題が出る少し前だったし、今ほど気楽にビデオ鑑賞できる環境も無かったから、無理もない事だと思う。
その前後に、いわゆるレンタルビデオ店が開業し、ビデオは1泊1000円くらいで借りることが出来た。相当なインフレ時代である。
そんな事を思い出してしまった。
そうして、ようやく第一章だ。
ここからこの本は様相を一変して、巨乳文化の歴史を掘り下げていくのである。
一番意外なのは、海外に於いても巨乳を好む歴史は浅く、100年にも満たないという点であった。確かにルネサンス期の絵画や彫刻を見ると、豊かな胸という作品は多くない。むしろ腰や腹のふくよかな肉感の中に、小ぶりな林檎のようなおっぱいが付いているという印象がある。
第二章での、おっぱいは性的対象ではなかった、という指摘も、なかなかに読ませる内容となっている。特に日本に於いて、おっぱいは乳幼児に乳を与える器官に過ぎず、性的対象ではなかった。胸は顔に繋がる体の一部でしかなく、胸を見たからと言って性的興奮を覚えない。しかるに銭湯は混浴であり、春画等でも胸に対する描写は浅く精細ではない。更に明治時代に入って、有名な黒田清輝の「腰巻事件」にまで言及するくだりには大変な説得力を感じた。
それ以降も、今まで私の持っていた乏しい常識を覆すような話が目白押しである。詳しくは是非、本書を購入して、その真面目な研究を堪能して頂きたい。
タイトルで損をしているのか得をしているのか、よくわからないけれども、女性にもおすすめしたい真面目な研究本である、と言っておこう。
そうそう、この本は電子化されているので、書店で買いにくいとかネットでも買いにくいという人は、電子書籍で買う事をお勧めしておく。ちなみに私も電子書籍で買いました。
***
最後になるが、「痴女の誕生」「巨乳の誕生」と連作になったので、是非とも次回作も「○○の誕生」として三部作で締めて頂きたいと、切に願うものである。
***
昨年暮れに購入しておきながら、なかなか読めなかった。
読書はもっぱら、通勤電車の中なのであるが、そういう場所で広げるにはちょっと憚られるタイトルである。尤も、本文の中には突然、おっぱいの写真なんか出て来たりしないので、そういう意味では安心して読めるわけだが。
これから仕事、という段階の通勤電車の中で、巨乳に関する話を読むのも如何なものかと思ってしまった、という事もある。
だが、それは杞憂であった。
面白い。
序章が、公式ブログで公開されているので是非読んで頂きたい。
http://kyonyu.hateblo.jp/entry/2017/11/08/191424
どうです?さらに読んでみたくなったでしょう。
導入編からしてこれである。
後は、淡々と巨乳文化の歴史について書かれているのだ。エロ本ではなく、これは立派な歴史研究書と言っていい。
それは、著者の前作「痴女の誕生」で分かっていた事ではないか。前作も立派な研究論文であった。
だから、この本はエロ的興味ではなく、文化人類学的興味を以って読んで頂くのが正しい作法であろう。
だが一方で、この本を紹介するのには、少し抵抗があった。
ウチのブログの読者は、妻を筆頭にして女性が少なくない。しかもほとんど知り合いなので、「じゃんぼうさんったら、巨乳好きだったんだ」とか誤解を受けかねない本を紹介することになってしまうので、そこに抵抗があった。
まあ、男ですからね。嫌いじゃないけどね。大きすぎるのもね。
ゲフンゲフン。
そんなわけで、2カ月以上も引っ張って来てしまったのであるが、ここに来て友人知人の本が立て続けに出版されているので、それに紛れて「今週は読書週間!!」という形で、この本も紹介することにした。
読みやすく一気に読めてしまうので、その意味でも、お勧めの本である。
特筆すべきは、この本の中には画像や写真が一枚もないという事だ。
おっぱいの本なのにおっぱいの写真が無い!騙された!いや、そうではない。
「巨乳」という言葉の誕生、文化の誕生についての研究本なのである。だからこそ、画像や絵は必要ないのだった。
***
冒頭、「はじめに」を読んで困惑する。
「現在のAV業界ではGカップ以上が巨乳という事が常識」
えっ?Gカップ?何そのインフレ?!
我々が青少年だったころは、Cカップでも大きめで、巨乳というかボインはDカップという解釈であったが、今はGなのか。何だよGって、乳牛かよ。あんまりデカいのも反って色気無いんじゃないかなあ?とか思ってしまうのだが、趣味趣向なんてものはそんなもんだろう。
序章
原宿ヴィレックスには、特撮ビデオを買いに行ったことがある。プロレスビデオも売られていたのだが、当時、この手のビデオ作品は1本1万円以上する高価なものであって、おいそれと買えるものではなかった。
色々逡巡して、「キャプテンウルトラ」のビデオを買ったのであるが、アントニオ猪木の格闘技戦のビデオもちょっと気になったなあ。しかし、そこに巨乳アダルトビデオがあったという事はあまり記憶にない。当時は1万円出してアダルトビデオを買うくらいなら風俗に行く、みたいな感覚があった気がする。エイズなどの問題が出る少し前だったし、今ほど気楽にビデオ鑑賞できる環境も無かったから、無理もない事だと思う。
その前後に、いわゆるレンタルビデオ店が開業し、ビデオは1泊1000円くらいで借りることが出来た。相当なインフレ時代である。
そんな事を思い出してしまった。
そうして、ようやく第一章だ。
ここからこの本は様相を一変して、巨乳文化の歴史を掘り下げていくのである。
一番意外なのは、海外に於いても巨乳を好む歴史は浅く、100年にも満たないという点であった。確かにルネサンス期の絵画や彫刻を見ると、豊かな胸という作品は多くない。むしろ腰や腹のふくよかな肉感の中に、小ぶりな林檎のようなおっぱいが付いているという印象がある。
第二章での、おっぱいは性的対象ではなかった、という指摘も、なかなかに読ませる内容となっている。特に日本に於いて、おっぱいは乳幼児に乳を与える器官に過ぎず、性的対象ではなかった。胸は顔に繋がる体の一部でしかなく、胸を見たからと言って性的興奮を覚えない。しかるに銭湯は混浴であり、春画等でも胸に対する描写は浅く精細ではない。更に明治時代に入って、有名な黒田清輝の「腰巻事件」にまで言及するくだりには大変な説得力を感じた。
それ以降も、今まで私の持っていた乏しい常識を覆すような話が目白押しである。詳しくは是非、本書を購入して、その真面目な研究を堪能して頂きたい。
タイトルで損をしているのか得をしているのか、よくわからないけれども、女性にもおすすめしたい真面目な研究本である、と言っておこう。
そうそう、この本は電子化されているので、書店で買いにくいとかネットでも買いにくいという人は、電子書籍で買う事をお勧めしておく。ちなみに私も電子書籍で買いました。
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最後になるが、「痴女の誕生」「巨乳の誕生」と連作になったので、是非とも次回作も「○○の誕生」として三部作で締めて頂きたいと、切に願うものである。
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