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本日発売! 金属恵比須「武田家滅亡」CDレビュー
本日、8月29日に発売された、金属恵比須4枚目のフルアルバム「武田家滅亡」。
筆者は専属カメラマンという立場を利用して、発売前に音源を入手することが出来たので、既に相当聴き込んでいる。そこで今日は、このCDのレビューを書いてみようと思う。例によって相当長いので、興味のない方は(以下略

***

世の中の多々あるロックバンドの中で、4枚目のアルバムというのは中々印象的な作品が多い。

例えば、レッドツェッペリンの4枚目。「フォー・シンボルズ」と呼ばれた何のクレジットもないアルバムは、代表曲である「天国への階段」「ロックンロール」「ブラックドッグ」を含む傑作アルバムだ。

そしてディープパープルの4枚目「インロック」も、それまでの路線からメンバーを変え、ブリティッシュハードロックの雄として人気を鷲掴みにした快作である。え?「ロイヤルフィル」が4枚目?あれはライブアルバムだからね(笑)

プログレに目を転じれば、イエスの4枚目「こわれもの」。リック・ウェイクマンを迎えてベストメンバーでの、言うまでもない代表作!

ジェネシスの4枚目は、大作サパーズレディを含む初期の傑作、「フォックストロット」。

このように、長期的に活動をしているバンドの4枚目のアルバムは、円熟期に入ってメンバーもベストメンバーになり、そこで生まれた傑作アルバムであることが多いようだ。

で、我らが金属恵比須の4枚目のスタジオアルバム、「武田家滅亡」も、これらの前例に引けを取らない大傑作となっている。

なお、今回はKADOKAWAとのメディアミックスという事で、伊東潤作「武田家滅亡」とのコラボレーション企画となっている。幾つかの歌詞を伊東潤本人が担当しており、それも話題のひとつだ。文庫本とCDがペアになったスペシャル版には、購入特典のしおりが付いている。

筆者は単行本時代の初版で「武田家滅亡」を買い(結構話題になったからね)、読んでいたのだが、今回、伊東先生に確認したところ、文庫化に際してかなりの加筆修正を加えているという事だったので、これは買い直さねばならないなあと思っている次第。今回のCD発売に合わせて再度読み直してみたが、月並みな表現しかできないが、非常に面白い本なので、皆さん文庫も是非買って読んでみることをお勧めしたい。

なお、「読んでから聴くか、聴いてから読むか」は皆さんにお任せしたいが、個人的には聴いてから読むと結構入れ込める感じがする。私は聴いてから読みなおしてみたのだが、特に名前付きで楽曲化されている「勝頼」「桂」「内膳」の三人には入れ込んでしまった。

それでは1曲ずつ聞いて行こう。(文中敬称略)


1)新府城

壮大な「武田家滅亡」組曲のオープニング。織田信長との対戦を控えて、交通の要である韮崎に築城した連郭式平山城。難攻不落の城になるはずであったが、この城を作ったがために、無理な出費が祟り部下の造反を生み、しかも撤退時に未完成であったため放棄せざるを得ず、結果的に武田家滅亡に繋がる曰くつきの城でもある。
曲はメロトロンの少々古臭いサウンドで始まる。そこに銅鑼の音が響き、聞こえてくるのは耳なじみのよいフレーズ。
この曲を聴くにあたって、ぜひ、レッド・ツェッペリンの「カシミール」という曲を予習で聴いておくことをお勧めしたい。二倍楽しめることを請け負っておく。
そして、このフレーズは武田の軍勢のテーマソングになっているので、そこも覚えておくと良いだろう。

2)武田家滅亡

あ、いきなり滅亡した(笑)

稲益宏美のラップ調ボーカルが印象的なタイトルナンバー。オフビートのドラムラインに正義のギターリフ。金属恵比須らしくないと言えばらしくないし、これ以上金属恵比須っぽい曲も無いだろうともいえる不思議にキャッチーな曲。

過去の金属恵比須のナンバーと比較しても、ここまで正義っぽいキャッチーなナンバーは少なかった。プログレという足枷が、金属恵比須にメジャー路線のようなサウンドを作らせない縛りになっていたのではないかと邪推するのだが、今回は時代小説のサントラという設定で、その足枷を解いて思い切りメジャー路線、正義のフレーズを惜しみなく出している。こういう曲が出来ると、もう勝ったも同然だよね。

サビの「武田家滅亡!」のフレーズには、ファンの皆さんの声が入っているというサービスっぷり!私は所用で、その時のイベントには不参加。無念!!

3)桂

武田勝頼の妻、「北条夫人」の名前は歴史上には残されていない。伊東潤は、これに「桂」という名を充てた。生まれ元の北条氏側で付けられた法名「桂林院殿本渓宗光」から取ったのであろう。
15歳で勝頼の元に輿入れし、その後夫と兄が敵対。兄を失い、仲の良かった姪も早逝する。一度は入水自殺を試みるも、武田の女として最後まで戦うことを決意し、最後には夫と共にわずか19年の生涯を閉じる戦国の少女の運命を、可憐な音色のアコースティックギターで抒情的に奏でている。組曲中盤の華とも言える名曲である。

プログレでアコギと言えば、ジェネシスのアレとかYESのソレなんかが出てくるわけで、あー、確かにこの流れはジェネシスのアレだなーとか思ってしまったが、そういう邪念を入れなくてもこの曲は名曲ですよ。後半では、キングクリムゾンのトリオなんかも想起させるような感じでキーボードとコーラスが絡んでくる。

演奏は、アコギは苦手という高木大地に代わって、新加入のベーシスト、栗谷秀貴が弾いているのだが、彼の本業はアコースティックギターだそうである。名演奏と言って良いだろう。

4)勝頼

一転して宮嶋健一の怪しいキーボードが唸り、力強いハードロックが始まる。アルペジオのピアノリフに合わせて複雑に絡むキーボード。そこに高木大地のロバート・フリップばりの歪んだギターサウンドが重なってくる。キング・クリムゾンやEL&Pを彷彿とさせる、組曲中一番ヘビーなサウンドは、タイトルも勝頼である。70年代後半のハードなプログレサウンドが好きな人には是非お勧めしたい。特に後半のUKっぽいドラムやキーボードはかなり意識して作ったそうだ。

武田信玄の息子として信玄と比較され、失望され、疎まれる勝頼。決して凡才ではないのだが、天下に謳う傑物の息子としての意地と悲哀を感じる曲である。

楽曲の長さや進行は、大河ドラマの主題歌を想定して作ってあるそうで、そういえば確かにNHKっぽい感じがしないでもない。


5)内膳

曲はそのまま続いて、ミディアムテンポの牧歌的な曲調に変化する。その中を稲益の澄んだボーカルとピアノの音が重なっていく。ストリングスの哀愁を帯びた演奏は、宮嶋のメロトロンだ。メロトロン好きには堪らない響きのオンパレードである。これをオカズにして、ご飯3杯いけるよね?(笑)
凝った音作りは、さすがメロトロンマイスター、宮嶋健一の真骨頂でもある。キングクリムゾンの宮殿のような抒情的サウンドだ。

ちなみに内膳とは武田勝頼の家臣で使番十二人衆の一人、小宮山友晴のこと。一度は放逐されるも、武田家のために策を講じて、何とか復帰する。戦局不利な中、次々と離脱する家臣を後目に、最後まで勝頼と運命を共にする。その哀愁を歌にした曲だが、伊東潤によれば、この歌詞は生み出すのに苦労したそうだ。

ネタバレになるのであまり詳しくは書かないが、伊東潤は本の中で内膳をイケメンに描き、最後に二枚目らしいちょっと良い役を与えているので、そこもお楽しみに。

6)躑躅ヶ崎館

「つつじがさきやかた」と読む。新府城に移る前の、武田家代々が居城した甲斐の国の守護所。逆賊辻弥兵衛に蹂躙され、滅亡を予感しての怪しい不協和音によるピアノ曲。演奏は高木大地。高木は以前、例の佐村河内事件で有名になった新垣隆とピアノ連弾をした事があり、その時の経験が活かされているような気がする。バックに流れる雷鳴の音が不気味である。
最後に「桂」のフレーズが不協和音で再現され、失意のもとに、いよいよ最期の時を迎えるのであった。


7)天目山

辻弥兵衛の謀略、相次ぐ家臣の脱落で、遂に天目山で果てる武田家。遠くから聴こえて来る織田の軍勢の怪しい足音。行進曲風のドラムの中から、高木大地の怪しいギターが響いてくる。このギターとドラムの響きは全く悪役の音だ。後藤マスヒロの面目躍如たる大暴れドラムを堪能頂きたい。そこにリフレインする新府城のフレーズ、武田対織田の対決だ。そしてラストは新府城のフレーズを盛大に。勝頼と桂の自害、そして忠臣内膳も宿敵辻弥兵衛と死を供にしたことによって、武田家は滅亡したのであった。壮大な組曲の完結に相応しいエンディングである。

この曲、何度聴いても、その既視感を拭えなかったのであるが、EL&Pの壮大な組曲「タルカス」の最終楽章「アクアタルカス」を聞くと、もしかしたら楽しい事があるかもしれない。
いや、そういえばあちこちにタルカスっぽいフレーズとか音が組み込まれてるじゃん。このアルバムって、ある意味、金属恵比須版のタルカスなんだねえ。改めて、それを感じてしまった。

この「天目山」までが「武田家滅亡組曲」と言って良いコンセプトになっている。アナログ盤が出るならば、ここまででA面という形になるだろう。続いてB面。

8)道連れ

ここから、昨年4月15日に行われた新曲発表ライブで、アンケート上位に入った3曲プラス1曲が収録されている。まず1曲目は後藤マスヒロ作詞作曲の「道連れ」。80年代のフュージョン/クロスオーバー系のサウンドで、良い意味で金属恵比須らしくなく、どちらかといえば後藤マスヒロのソロアルバム「INTENTION」の流れを汲むサウンドとなっている。しかしながらギターのフレーズや後半の展開などは、明らかに金属恵比須寄りに仕上がっており、「INTENTION」との差を楽しむのも面白いだろう。


9)罪つくりなひと

先日、冗談か本気かよくわからないPVが発表された(笑)。イメージ的にはセカンドシングルかなあ?実は個人的にはヘビーで一番好きな曲である。今回のアルバムの中では一番従来の路線に近いサウンドで、ファンには耳なじみが良いと思う。
あまりにも印象深いPVなので、音が疎かにされがちだが、非常に完成度の高い楽曲だ。途中に入る、栗谷秀貴のアコースティックギターが非常に良い味を出している。高木大地のギターソロも、気負いが抜けてのびのびとした良い演奏になっている。

10)大澤侯爵家の崩壊

宮嶋健一によるピアノ曲。久石譲の「もののけ姫」とか「パリは燃えているか」なんかを彷彿とさせるイメージ。高木の「躑躅ヶ崎館」と聞き比べてみても、各々の個性が出ていて面白い。
タイトルは、三島由紀夫の短編小説「月澹荘綺譚」に登場する大澤侯爵を表す。エンディングに控える大作への導入部というイメージの小品。

11)月澹荘綺譚

アルバムの最後を飾るのは10分に及ぶ大作、「月澹荘綺譚(げったんそうきたん)」である。ほぼピンク・フ〇イドの「狂ったダイ〇モンド」と「〇ッグ」を足して二で割ったような感じという、どこからどう聴いても〇ンク・フロイドにしか聴こえないのであるが、全体を通すと火曜サスペンス劇場のエンディングみたいなイメージになっているという実に不思議な曲である。

後藤マスヒロのドラムは、あくまでも後藤サウンドなんだけれども、随所にタメのあるニック・メイスンばりの音が散らばっていて思わずニヤリとしてしまう。一方、宮嶋のキーボードはどう聴いてもリック・ライトだし、高木のギターに至ってはデイブ・ギルモアそのものである(フレーズも)。ピンク・フロイ〇のコンテンツって、結構分かりやすいポイントがあるなあ、というのを改めて感じた。高木大地のベストテイクと本人が豪語している泣きのギターを充分に堪能していただきたい。

ところが、そこに乗っかる稲益宏美のボーカルが、岩崎宏美みたいなんだよね。だから火曜サスペンス劇場になってしまうのだ。これは凄い。金属恵比須というバンドが如何なるアレンジを行おうとも、自らの個性を主張出来ている証拠ではないだろうか。部分的に切り取って聴くとピンク・〇ロイドなんだけれども、全体を通すと金属恵比須の芯がしっかり入っている。こういう音作りが彼らの真骨頂と言えるのかもしれない。原曲が余程好きで、楽曲を全分解して再構築しないと、このような構成にはならない。必ず盗んだアレンジに引っ張られてしまうものだ。

全編を通して、いわゆるプログレ臭が(表面的には)比較的薄い分、最後に全部詰め込みました的なイメージで、プログレファン大満足の一曲となっている。ライブアンケートでも1位になったとの事。

もし、この曲が気に入ったら、是非、山口百恵の「マホガニー・モーニング」という曲も聴いていただきたい。こっちもしっかりピン〇・フロイドしています。

以上、全11曲に渡る超大作である。掛け値なしで、金属恵比須の最高傑作と言ってよいのではないかと思う。視聴用、保存用、布教用に3枚買うべし!



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| 【音楽】 | 20:57 | comments(0)
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